使えるフェイシャル エステ

商社の部長であった彼は当日、前半のプレー後の昼食中、気分が悪くなり、ソファで休んでいた。
ややあって仲間が声をかけようとしたら、そのままの姿で冷たくなっていたという。
急性心不全だった。
Hは病気とは無縁で、二カ月前の人間ドック検査でも、何の異常もなし。
まさに突然死だ。
だが、今から振り返ると、虫の知らせと思えるような言動や、前兆の症状が浮かんでくる。
仕事に脂が乗り、ゴルフも好調だったらしいが、その週末は、会社の同僚と『今週は疲れたなあ』と話し、家でも『遠出のゴルフはいやだな』と洩らしていた。
プレーに入る頃から『顎のあたりが痛い』と言っていた。
これこそ心筋梗塞の前駆症状だった。
この時点で治療を受けていれば、一命を取り止めたかもしれなかったのに。亡くなった方が歯の治療を受けていたとか、噛み合わせが狂っていたという話は出ていないが、私から見ると、このケースは歯の噛み合わせと大いに関係しているように思われる。
実際に歯の治療が原因で死亡している症例が報告されている。
日本歯科麻酔学会の調べによると、一九八五年から九〇年の六年間の間に、少なくとも二二人が、歯科治療が原因で心臓発作を起こし、死亡していることがわかっている。
学会は、治療の激痛や麻酔のショックが発作を起こす引き金となるとしている。
突然死を研究している医師が、早く歯と体の関係に気づき、原因の調査をしてくれることを願ってやまない。
突然死をした人が、歯の治療をしていなかったかどうか、それを調べるだけで、大変な事実が発見されるはずである。
姉の死で「口が開かなくなった」人それでは、噛み合わせバランスの不調和によって、どのような全身症状が惹き起こされるのか、実際の症例を見ていくことにしよう。
まず、口が開かないということで相談に来た六1歳の女性の患者さんである。
この患者さんは「姉が亡くなって以来、口が開かな-なった」と訴えた。
口の中を見てみると、下はすべて自前の歯だったが、上の奥歯に左右二本ずつ、計四本の入れ歯が入っていた。
食事のときにはいつも入れ歯を外しているとのこと。
それだけでも、入れ歯が合っていないということがわかる。
入れ歯を外しても口を大きく開けることができず、普通に食事ができなかった。
調べてみると、やはり奥歯の噛み合わせバランスに不調和があった。
そのために噛み方が偏り、それが顎関節(頭蓋骨と下顎が接続する関節)に圧迫を加えて機能障害を起こしている。
いわゆる顎関節症である。
この患者さんの訴えを聞いて、歯科医が見落としてはならない点は、「姉の死で口が開かなくなった」ことである。
「入れ歯をしたときから」ではなく、「姉の死から」なのである。
こうしたことを歯医者に訴えても、ほとんどの場合、ろくに相手にされず、真剣に取り扱ってもらえないことだろう。
しかし本当は診断上、これがひじょうに大事な要因なのである。
人間は大きなストレスが降り掛かると、気は沈み、つねに沈痛な面持ちになる。
人間にとって最大のストレスの一つは肉親の死である。
沈痛な面持ちばかりしていると、笑顔や怒りなどの表情を作る表情筋が凝り、固くなる。
さらに表情筋に隣接している岨噛筋(ものを噛むための筋肉)も同じ状態になる。
これに加え、ストレスによって、普段よりも歯を食いしばる時間が長くなる。
長時間にわたる食いしばりが顎関節を圧迫し、ロックの状態を惹き起こしたと考えられる。
この患者さんには入れ歯が合っていないという、顎関節症を惹き起こす素因はあったわけだが、「姉の死」がそれを発症させる引き金になったと考えるべきなのである。
患者さんは、私のところに来る前に、某医大の口腔外科に通っていた。
そこでは、顎関節に癒着があるので手術以外に口を開ける方法はないと言われたそうである。
恐ろしい話だ。
手術をすると、顎を円滑に動かすための関節円板というものを取られてしまう。
一時的に口は開くようになるかもしれないが、同時に、ほかの不具合が出てくる危険性は大きい。
そこで、私はきちんとした唆合接触のある治療用義歯を上の奥歯に入れ、時間をかけて口を開ける訓練や岨噂の訓練をしていくことにした。
訓練を続けて二カ月はどすると、口はだいぶ開くようになり、寿司を口に入れられるようになった。
さらに数カ月後には、ほとんど一般の人と変わらないほどまでに回復し、あくびも自然にできるようになった。
もっとも、誰もがこの患者さんのように完全に回復するとは限らないし、稀に手術頭蓋骨と下顎が接続する関節を顎関節という。
をしなければならないケースもある。
しかし、治療の順序としては、可能性があるかぎり、小さな治療から試みるべきである。
それで何の効果も得られない場合に、外科的な手術を施せばいい。
少なくとも、噛み合わせを正して、口の中のバランスを取って経過を観察すべきなのである。
外科的な手術しかないと診断した某医大の医者は誤診をしたと言わざるをえない。
「口腔外科は切りたがる」というのは、歯科業界では常識になっている。
充分、注意したほうがいい。
この患者さんは口が開かなくなったわけだが、顎関節症が惹き起こす症状は、実は口の開閉障害だけにとどまらない。
全身にも大きな弊害をもたらす。
顎関節症は自律神経失調症と大き-関係し、さらに運動神経障害をも惹き起こすのである。
京都府立医科大学の住岡輝明先生は、ビーグル犬の片側の歯を人為的に削って実験を行い、その結果、全身にどのような影響が現れたかを報告している。
まず、犬の右の上下の歯を三ミリ削ったことで下顎が右へずれ、左右の顎の筋肉の長さが異なってきた。
その後、犬は顎関節症を惹き起こした。
「その結果、体重の減少、よだれ、涙、抜け毛が自律神経失調症の症状として、また、ふるえ、歩行困難、姿勢悪化が運動神経障害として観察された」という。
三匹の犬で実験が行われたが、どの犬も後ろ脚の筋肉が弱まり、さらに内転し、骨盤が湾曲し、最終的には歩行ができな-なった。
この研究結果で最も注目すべき点は、いずれの症状も、一般的な血液検査では異常が認められていないことだ。
つまり、報告にあるような症状が人間に出れば、誰でも1般の医者にかかるところだが、その原因が噛み合わせの変化にあるなら、全身のほかの部分をどんなに検査しても、「異常なし」という診断結果になってしまうのである。
顎関節症に躍る人は十数年前から急速に増加していて、スウェーデンでは四人に一人が顎関節症になっているというデータもある。
ただし、このデータも10年ほど前のものなので、今はもっと多いと考えられる。
主な原因は患者さんの症例で見たように、唆合異常、下顎のズレ、ストレス、食いしぼりや歯ぎしりなどである。
どの原因も結局は、噛み合わせバランスが大きく狂うということにある。
六一歳の女性の患者さんは、左上に三本分のブリッジが入っている以外は、ほとんど虫歯らしい虫歯はなかった。
ブリッジとは1本の歯を抜歯した際に用いる治療法で、両隣の歯はもともとは健康な歯である。
年齢を考えると、この患者さんは丈夫な歯を持った方と言えるだろう。
だが、そのブリッジを入れて以来、体の具合が悪-なったという。
当初、ブリッジがきついことを歯医者に何度か訴えたが、例によって「慣れれば大丈夫」と言われるだけだった。
ところが、そのうちに別の部分に影響が出てきた。

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